Democracy in Action! 

私が住んでいるフラットの近くに、もう長いこと空き家になっている家があります。敷地といい、家の大きさといい、ちょっとした邸宅だったのではないかと思うのですが、私たちがここに来る前から空き家だったようなので、庭もまったく手入れされておらず、元からあった木に加え、鳥が落としていった種などから生えた木も加わって、ジャングル状態になっています。

我が家はフラットの最上階にあり、ちょうどこの家の庭を見下ろす位置にあります。季節感がいまひとつ乏しいスコットランドですが、春にはどれかの木がピンクの花を咲かせ、鳥たちがさえずり、初々しい新緑が春の光に輝き、夏になるとその緑は濃くなり、秋になると紅葉した葉が朝日を浴びて輝く。葉を落とした冬の木立と常緑樹の景色も趣があっていいものです。

ところが、先月、役所から手紙が来ました。あの家を取り壊すという報せでした。家の所有者は、空き家を取り壊して、2階建てのフラットを建設する予定とのこと。

「あの庭がなくなってしまう」・・・そう思ったら、なんともいえない寂しさに襲われました。でも、それは私一人のわがままな感情。家の持ち主が決めた以上、どうすることもできない・・・希望としては、あの建物の外観は残して、中を改装すればいいのに。せめて、できるだけ、あの庭の木々は残してほしい・・・

しばらくすると、ポストに一枚の紙が入っていました。だれかは分からないのですが、このエリアの住人の一人が、あの家の取り壊し反対を呼びかける手紙を書き、それを家々のポストに入れて回っているようでした。あの庭がなくなることに心を痛めている人は私だけではなかったんだな・・・

そして、また数日が経ち、夫が彼の友達からのメールを転送してきました。そのメールはその友人のガールフレンドからのもので(彼女はこのエリアのフラットを持っていて、友人に貸している)、あの空き家の取り壊しに対する反対署名が役所のホームページから出来るという内容のものでした。

その指示通りに役所のホームページから、該当する件のページにアクセスし、氏名、住所、そして反対理由記入することができました。

その数日後に夫と私、それぞれに役所から手紙がきて、私たちの反対署名を受理したとのこと。

それから約一ヶ月が経ち・・・・

「あの家の件、どうなったのかね」と話していたら、私と夫に、役所から見覚えのある封筒が入っていました。

おそるおそる封をあけて、手紙を読むと・・・家の取り壊し計画は、持ち主が正式に取り下げたとのこと!帰宅した夫にそのことを報せると、”Democracy in action!” 

取り壊し反対の署名がたくさんあったのでしょうね。それから、多分、このご時世、新しいフラットを建設しても売るのが難しい・・・というのも理由のひとつにあるのかも。この近辺、いくつか新しいフラットが建設中ですが、たぶんそれらも売るのに苦労すると思うし。

ちょっと複雑な思いも・・・あの家、これからもずっと空き家のままになるってことだよね?本当は、あの家を改装して欲しいんだけれどもなぁ。

とりあえず、当分の間は、この景色を楽しむことができるので嬉しいです。

我が家のリビングルームから見た空き家と庭
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昔の携帯電話のカメラで撮ったので画質が悪いのですが、秋のようす。
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もとは会社だったのかな・・・?

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屋根と壁から木が生えているのにご注目。これ、なんとかしたほうがいいと思う・・・

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ある晴れた日に 

なんと、今月の投稿数、2桁になりました。一年ぶりです(笑)。

先週の前半は、夏らしい一日が続き、「おぉ、夏だ〜」と思ったのも束の間、霧がたちこめる日が続いています。今日、日本に帰られる予定のお友達が、空港から電話してくださったのですが、霧のせいで飛行機が飛べないらしく、結局5時間おくれでく飛行機に乗れたとのこと。ただし、次の日本行きの飛行機には、もう間に合わないので、どうなるかな・・・と不安なようでした。最後まで、スコットランドらしさを体験して帰られることになったようで・・・

テイ川と鉄橋。向こう岸はFife。
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夕方、夫が「外、見てみなよ」というので、窓の外をみるとピンクの雲が。
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南側の風景
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ちびバニーズ 

私の住んでいるところは緑が多いからか、うさぎをよく見かけます。朝や夕方、そして夜がうさぎを見かけることが多いです。もんもんと考え込んでいるときでも、こうさぎが草を食んでいる姿をみると、いつのまにか口角が上がっています。

母のお古のデジカメをもって、夕方、近くの広場にいってうさぎを激写!してみました。いやー、うさぎさんたち、とっても用心深いので、結構、離れていても、こちらの気配を感じると逃げてしまう・・・

ズームイン機能を使って、ようやくここまで撮れましたが、難しかったです。

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そして、ちびバニーズ(こうさぎ)!かわいいですよね。走り去るときの白いお尻が、これまたかわいい(笑)。

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スコットランドとトンネル 

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先日、こちらの人気番組Top Gearという車の番組をみていて気がついたこと・・・「スコットランドにはトンネルがない」

この番組のプレゼンターたちが日本に行き、石川県の羽咋から千葉の鋸山までひとりが(ジェレミー・クラークソン)Nissan GTRで、2人が(リチャード・ハモンド & ジェームズ・メイ)鉄道やバスなど交通機関をつかっていく、という内容だったのですが、J・クラークソンが日本アルプスが見えるあたりを走っているときに、「いい眺めだけれども・・・日本には、トンネルが・・・」と言ったのを聞いて、「そういえば、こっちでトンネルってないかも・・・」

スコットランド、とくにハイランドには高い山がいくつもあるのですが、トンネルはありません。都市部には、いくつかあるかもしれませんが、いわゆる山をぶち抜いて造ったトンネルはないと思います。これまで、あちこち出かけた記憶をたどっても、思い出せないし、地図をみてもなさそう。

したがって、ドライバーはキツいカーブに振りまわされながらも、地形にそって敷かれた道路を走っているのですが、それでもトンネルを造ることは考えられないようです。

ひとつには、お金がないということもあると思いますが(笑)、「そこまでしなくても」という思いと、山を傷つけるなんてとんでもない、という思いもあるのかもしれません。スコットランドには、赤リスなど、希少な動物たちが生息しているし・・・

スコットランドで暮らすというのは、多かれ少なかれ、自然による「不便さ」を受け入れて生活することのような気がします。あきらめというのか、体の一部として、というか。

スコットランドの地図をみながら、点のような小さな島や、山のど真ん中に集落らしい地名をみつけると、一体、どんな暮らしをしているのだろうと、想像をかきたてられます。不便な暮らしには違いなかろうと思うのですが・・・

私の住んでいるところは都市部で、ハイランドや島の生活とは比べものにならないほど便利ですが、たとえば橋が一本しかないテイ川をみながら、いつも「あともう一本あれば、便利だろうに」と思います。あと一本、橋があれば、かなりの近道ができると思うのですが、ここに暮らす人々は不便に思っているのか、「こういうもんだ」と思っているのか、大きく迂回して、たった1本の橋をわたって対岸に渡っていく。

自然の不便さを体の一部として暮らしていく・・・それを、「スローライフ」だとか、「シンプルライフ」といった呑気な言葉であらわすことができないということは、ハイランドや島での失業率の高さ、アルコール依存者の多さや、精神を病む人々の多さが物語っていると思います。

「不便を便利に替える」ことによって、失うものもあれば、得るものもあり、「不便をそのまま引き受ける」ことによって、維持できるものもあるけれども、あきらめなければいけないものもあり・・・後者の生活を送るハイランドや島々に暮らす人々の苦悩は、私も含めたいいところ取りの旅行者には分かり得ないものだと思います。

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Glen SpeanとLoch Laggan(たぶん)。あまりのカーブのキツさに、気持ち悪くなって休憩したところ。

うわぉ! 

The Private Patient
The Private PatientP. D. James

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私の好きなミステリー作家、P.D. James。来月の誕生日で88歳になるのですが、ふと「お元気かなぁ?」と思い、ネットで調べたら・・・

なんと、新作が来月、出版されるようです!!おもわず、「うわぉ!」と声をあげてしまいました。すごい・・・前作は3年前のThe Lighthouse。85歳の年齢を感じさせない作品でした。人間の業の深さ、脆さに迫る洞察の鋭さには、いつも唸らされます。誕生日を迎えたばかりの私、少しでも、彼女のバイタリティ、知的好奇心の強さ、聡明さ、凛とした姿に近づいていきたい・・・と気持ちだけはあるのですが。

なんだか励まされるニュースでした。