Blood in the Water 

Blood in the Water (Alice Rice Mystery)
Blood in the Water (Alice Rice Mystery)Gillian Galbraith

Mercat Press 2007-03-12
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スコットランド女流推理作家、ジリアン・ガルブレイスのデビュー作。The No.1 Ladies' Detective Agencyの売れっ子作家、Alexander McCall Smithのお墨付きです。

えっと、これから有名になっていくであろうこの作家の本を読むことになったのは、いかにもスコットランドらしい理由から(いろんな意味で)。

ある日、こちらにすむ日本人の方からこの本を渡されました。英語が難しそうなので、代わりに読んで欲しいとのこと。この本の著者、じつはその方のお嬢さんのお友達のお母さんなのだそうです。もとは医療訴訟や農業関連を専門とする弁護士だったそうですが、お子さんとの時間を大切にしたいということで、あっさりと弁護士を辞め、執筆活動を始め、記念すべき第一弾がこのBlood in the Waterでした。

弁護士もできるし、小説もかける・・・たくさんの才能に恵まれていて本当にうらやましい限りです。ちなみにお宅にはdogs, cats, hens(複数形にご注目)and beesがいるとのこと。鶏なんて、5,6羽どころじゃないのだそうです。うひゃ。

そんな話を聞いていたので、本を読みながらも「これは自分の経験から書いてるのかな」とか、「これは誰かがモデルになってるのかな」とか邪推しながら楽しみました。

第一作は、彼女の弁護士としての経験がおおいに生かされた作品になっています。医療訴訟がかかわる事件の話でした。

舞台はエディンバラ。産婦人科医のエリザベス・クラーク、タイルなどを貼ったりする仕事をしているサミー・マクブライド 医療訴訟が専門の弁護士デイビッド・ピアソン そして 同じく若手女性弁護士のフロラ・エルスキン この4人が次々に首を切られて殺されます。この4人の接点は?犯人の動機は?

主人公はエディンバラ警察に勤める女性刑事アリス・ライス。背が高くて美人、仕事もバリバリこなす35歳、独身。悩みはなかなか出会いのチャンスがないこと。

裁判所も警察も、庶民にはほとんど縁のない世界なのですが、著者には馴染みのところなので、とても臨場感があります。弁護士の仕事って本当に忙しいのねえとか(家族との時間がなくなるのも納得)、警視庁にしても、裁判所にしても、実力があってバリバリと働いている女性、独身ならば出会いのチャンスもなかなかないでしょうし、既婚ならば、仕事と家庭の両立も大変。そりゃ、睡眠不足でお肌も荒れるでしょう・・・この現場感覚が、彼女の作品の最大の強みになっていると思います。

裁判のあり方、医療制度、そして福祉の現状にまで鋭い問題提起をしています。想像や憶測でなく、実際の経験から書いているんだろうなと思うので、「こういうことが現実にありうるのか・・・」と暗澹とした気持ちにもなりました。

全体的には現役だったころの経験を生かした迫力のある作品になっているのですが、それだけに主人公のアリス・ライスが今ひとつ存在感が弱いかなというかんじが否めません。出会いのチャンスがなく、切羽詰っているということを強調するために、新聞などの出会い系の広告を試してみた、なんていう軽い場面も交えたりしているのですが・・・彼女の女上司のほうがよっぽど存在感があるようにも思いました。第二弾、三弾、と少しずつ彼女のキャラクターがもっと生かされていくのだと思います。

エディンバラの実在の住所が使われているので、エディンバラに行ったことがある方は、地図を見ながら楽しめますよ。話の中で、Granton Medwayという場所が出てくるのですが、住民たちが「ここから出る」のを野心として共有しているような場所だそうで、エディンバラを貴婦人にたとえると、エディンバラ城やシャルロット・スクエアが、優雅に結い上げられた頭部ならば、Granton Medwayは「恥部」らしい・・・実際にそこに住んでいる人が読んだら、気を悪くするのでは?と心配してしまいましたが。

第二作もすでに書き終わって、もうすぐ出版されるそうなので楽しみです。

Comments

面白そう!
ちょっと身近な人の手による作品、それもこれが1作目だと思うと、余計に親しみがわいてしまいそうですね。

実は、わが夫がそちらにいたときのボス(女性)の父君も、playwriterであり小説も書かれるのですが(1976年Booker prize!)、私は著書を1冊読んだきりなんです(恥)。夫に至っては手にとってもいません(大恥)

元ボスに「本読んだよ〜」と言ったら
「今執筆中の本は、女性バイオロジストが主人公なんだって・・・イヤねぇ」なんて笑ってたけど。

なおさん
おぉ、そうだったんですか!!ブッカー賞のサイトでみたら、この方かなーと分かったので、さっそく「読みたい本」のリストに加わりました。なんか、身近なところにじつは有名人が・・・というのがスコットランドらしいですよね。作家のお父様をもったその方の家庭、どんなだったのかしら?「女性バイオロジストが主人公」の本も気になりますね。果たして娘がモデルになってるのか・・・とか?(笑)

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